粉菓子のこと1

新潟県では、押しもの、打ちもの、といった粉と砂糖を合わせて
枠や木型で抜くものを総称して「粉菓子」と呼ぶ。ほぼ全県で。
他の土地ではあまり聞かない言葉である。

粉菓子と言っても、その粉は米(糯・粳とも)の粉が主であって、
麦粉、麦焦がしでつくるものを、粉菓子とは言わない。
麦菓子、麦落雁となるようだ。

この「粉菓子」という呼び名は、意外に古いもののよう。
江戸時代のいつごろからなのかは、今後の課題。
今は幻となった「白雪糕」に連なる菓子のようで、
「落雁」文化は越後にはあまりない。
かくゆう私も、東京で暮らすようになってから、「落雁」という
言葉には馴染んだものの、いまだに「落雁」というものがよくわからない。

「白雪糕」は、現在でもハクセッコ、ハクセンコ等の呼び名は残っているが、
実際には、落雁や押しもの、打ちものと区別のつかないものとなっている。
地域差もあり、古来のものとは、かなり変質してしまっているようだ。
なにせ、江戸時代からすでに混同が始まっているようなので。

出雲崎の大黒屋さんでは、良寛さんがたびたび所望したとされる
「白雪糕」を本来の生の粳粉でつくる製法(最後に軽く蒸す)ではないが、
その雰囲気をよく伝えているようだ。

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