越後長岡城下年中行事 三月朔日


朔日
今日より四日まで雛人形を飾る。二月下旬より飾る家もあり。
干鱈・菱餅・菓子、其外、土筆・観草・野老等を備ひ、
又日々膳部を備ふ。是を雛遊といふ。
雛は少彦名命を祭る。此神は高皇産霊神の御子にて、
其形ち小さき御神なり。彦名を中略してひなといふ。
此神、大己貴命と力を戮せ、病疾を祓ふの神誓いなり。
日本醫藥の祖神なり。紀伊國粟嶋大明神と崇め奉る。
(俗に粟嶋は女神なりとふは誤りなり)
依て是を祭れば年中邪氣を祓ふとて、紙にて人形を作り、
是を以て母も子も身をなでて水へ流す故、はは子人形ともいふ。
今も京雛とて、袖ひろげたるを母とし、巻いたるを兒とせしとなり。
其後何頃か男子の人形を作り、錦繍を粧ひ内裡雛と稱し尊敬して、
婦女子の後榮をねかふ業となれり

○女子誕生の始ての三月には必ず雛を飾る。
近親よりも人形、或は作花島臺といふ。等を相贈る。
三月四日之内、親戚を相招く。是を初節句の祝といふ。
反町本『懐旧歳記』より


文中の紀伊國粟嶋大明神は、加太淡島神社のこと。
こちらの神社では、
男びな女びなの始まりは、淡島神社のご祭神である少彦名命と
神功皇后の男女一対のご神像であるとされています。」とのこと。
また、「雛祭りの語源も、スクナヒコナ祭が後に簡略化されて、
ヒナまつりと言われるようになったとされています。」とあり、
『懐旧歳記』の記述と一致してる。

少彦名命は、「淡島(粟島)さま」としても祀られるが、
「天神」として、京都や東京の五條天神社をはじめ、
各地の天神社で祀られ、医薬や酒、農業(雷など天候も含む)を司る、
天の神さまでもある。

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