タガネとシトギ、そしてアマサケ

「タガネ」も「アマサケ」も、神饌との繋がりが深い。

近江で「タガネ」と呼ぶシトギは、方形のシロモチだ。
九州の「アメガタ」(「モチアメ」とも)とも通じるようなイメージ。

大言海』によれば、
水を混ぜてひとまとめにするところからタガネ(束)の義という。また、タガネネリ(束煉)の約転か。」とあり、
「しんこ」のルーツともいえる 「手束麦縄」を連想する。
シトギを蒸せば、「しんこ」になる。

しんこで供物をつくる行事菓子を取材に行くと、必ずといっていいほど
甘酒が用意さている。そして、あちこちで聞いたのは、
昔は祭りの準備は、甘酒の麹づくりからはじめたものだということ。
昔、醸造酒を準備できない庶民が、つくり供えたのが甘酒なのだろうか。

アイヌの人たちは、葬式などがあると、それぞれが道中米を嚙みながら
葬式の準備に集まったそうだ。急な場合の甘酒づくりだ。
水なしで、タガネ(飴・糖)をつくったという神武天皇の話もあるが、
米を加工して、甘き供物をつくる最も原始的製法なのかもしれない。

「タガネ」も「アマサケ」も、手をかけた米の加工品である。

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