『戦う村の民俗を行く』

『戦う村の民俗を行く』 藤木久志著 朝日新聞出版

中世の戦う村人は、「退転」「逃散」「欠落」という実力行使によって
領主らとわたりあっていたことを知った。

躍動感ある時代の中にいたのは、侍たちだけでなく、
村人も刀を持ち、村は自衛の集団。
この自衛集団は、村のマツリも自営であると思われる。
今も民俗行事にのこる「オコナイ」「オビシャ」などといった
本来、職業祭司者不在のマツリの単位との類似性も感じた。

「連歌を読む武士たち」の章では、上杉家の首脳陣が、
「古今伝授」で有名な細川幽斎らとの交流が盛んであった様子、
天正16年正月の連歌での顔ぶれをみると、
茶の湯と並び、連歌が政治的にも重要であったことが伺われた。

また、芦名氏の滅亡によって、越後側へのがれ、越後三河村の
薬師堂に望郷の思いを落書きした侍「あかい又六」の話は、
戦国の世の侍たちに、なにか親近感さえ感じる。

もっとも興味をひかれたのは、中世越後における信仰世界。
そして、鎌倉公方の年中行事を、越後色部氏年中行事などど
比較しながら詳しく解説された部分だった。

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