「景勝団子」その2「玉兎月之影勝」

「景勝団子」はお客の前で、小さな臼と杵で、曲搗きし、
搗く動作や丸める動作が見世物として、面白かったのか、
意外にも長く(天明のころから明治に入るころまで)人気のあった
庶民の菓子のようだ。「飛び団子」の名もあるように
かなりの人を集める、曲芸じみたものだったのかもしれない。

餅搗きは芸能としても各地に残っており、時には神事でもあった。
人を惹きつけるパフォーマンスとしての餅搗きは、
今も踊りの演目の中に残っている。
「玉兎月之影勝」という演目は、餅搗きの仕草が見所のようだ。
ところで、ここで杵は縦杵を使っているようだ。
月の兎は、本来縦杵。それは薬を粉にしたり、米を粉にするためという。
餅は縦杵では搗きづらいため、横杵で搗く。
反面、ウルチの団子ならば、縦杵のほうが搗きやすい。搗いていたのは、団子か餅か気になるところ。

「玉兎」「月=搗き」「景勝」の言葉遊びのような演目名。
「景勝」は「月」を介して「餅搗き・団子搗き」と結びついていた?
それは、人気を博した景勝団子のなせる技?
上杉景勝その人を知らずとも、景勝団子は有名だったようだ。

越後でも米沢でも、知られていなかったであろう、江戸の「景勝団子」。
「景勝餅」という記録もあるようで・・・。上方にもあったらしい。
江戸や上方で徳川家に対する複雑な思いを持つ人々にとって、
家康に抗った上杉景勝の名は意外にも通りのよい名だったのかもしれない。
または、団子や餅の腰の強さを、武将上杉景勝にあやかったのか?
はたまた、だれか越後出身の者がはじめたものであろうか?
気になる「景勝団子」なのである。

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