「おてがけ」と「ツモノボン」

松浦史料博物館の「平戸松浦家のおてがけ」ページによると
「おてがけ」の習慣は、新年に松浦家の殿様から家臣が
お菓子とお金、辻占を賜ったことが始まりで、それを市民が
真似するようになったものとも言われるようだ

「おてがけ」については、「平戸の辻占煎餅」のページでも
触れたが、同様な風習は、各地にも共通の古い習慣のようだ。
新潟にもある。またはあった。

佐渡では、「オテカケ盆」を間において挨拶をする様子を
『図解日本民俗誌 新潟』(新潟県民俗学会編・岩崎美術社)の中で、
確認できる。
平戸の七色菓子の一例
また、同様の習慣である、長崎の「はさみ菓子」(七色菓子を
和紙に包んで年始客に渡す)に通じる「ツモノ盆」については、
『秋山郷のことばと暮らし ー 信越の秘境』(第一法規出版)
にも下記のような記述がある。(概略)

ツモン
礼回り(元旦の早朝、新年のあいさつに回ること)に来た人に
さしだすもので、ツノボン、ツボノボン、フィネクレとも言う。
内山紙(ハッチョウガミにも使う)を半分くらにに切ったものの中に、
串柿、干し栗、米などを包んで両端をひねったものと、
昆布で松の小枝を結わえたものを盆に用意しておき、
礼回りの人が来ると差し出す。
礼に来た人は、片手を拝むような形にあげてこれを受け、
持参した茶を盆に入れて挨拶をかわす。

昭和30年代まで、1年中、客が来るとこの盆を差し出したとあり、
驚かされる。
尚、持参する「茶」は、実用にはしないもので、茶ガラなどを
干して使ったという儀礼的なものだとある。

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