白雪餻その7*佐賀の「雪もち」と「白雪餻」

佐賀の鶴屋という老舗菓子舗に伝わる文書を収めた
『「鶴屋文書」に見る 江戸時代の佐賀の菓子』(2006)には、
新潟でもおなじみの菓子が見られ、興味深い。
例えば、「姥玉餅」は「姥」の文字を使っている点が注目され、
  「うば玉」は「烏羽玉」でもあり、「姥玉」でもあったと思うので。
また、金花糖については、簡単な絵図もついてる。
  金花糖が製法書にみえるのも珍しい。対馬の宗家文書にもあるが。

なかでも、「菓子仕方控覺」に並んで記載されている
「雪もち」 と「白雪餻」との製法は、大変参考になる。
原文の他、九州の菓子に造詣の深い江後迪子さんの
訳文と解説がついている。

それぞれの製法の訳文のほうを引用させていただくと、
「雪もちのつくり方」
うるち米を水に漬け、粉にして細かにふるい、米一升(1.4キロ)に
砂糖120匁(450グラム)をよくまぜ合わせて、せいろうに紙を敷き、
まぜたものを米通しでふるい入れ、茶せんで(表面を)なおし、
包丁でよいように形をつけ、蒸す。
蒸し加減は包丁目の形に割れ目ができるくらいがよい。
(粉)をふるい入れる時は、随分かるく押して、(くっ)つかぬように
すること。
「白雪餻のつくり方」
白米をよく洗い、水をはり、ぬる湯に少しの間漬けおき、
籠に移し、水気がとれたころ鍋でよい加減に煎り、
石臼で細かく碾き、水囊でふるい取り、米粉一升に、
ちりを除いた上白砂糖140匁(525グラム)、湯を少し入れて
もみ合わせ、その後、右の米の粉を入れ、手のはらでさらによく
もみまぜ、型に入れ、強く押し、打ち出す。

押し加減や、蒸し加減などが丁寧に書かれていて、わかりやすい。
ここでの「白雪餻」は、すでに落雁製法、「打ちもの」になっている。
またどちらも、粉と砂糖が3:1ほどの割合である。

熊本県八代市の氷室祭の「雪餅」については、
「お菓子かわら版 vol.13」の「良寛さまと白雪餻」のなかに、
牛嶋英俊氏よりご提供いただいた写真とともに
「白雪餻」との関連について、私なりの視点で書いてみたので、
ご興味ある方は、ご覧ただけたらと思う。

なお、鶴屋の「菓子仕方控覺」には、「白雪餻」に続き「夾砂餻」や
「胡麻餻」なども記載があり、興味は尽きない。
下は、鶴屋さんの「丸房露」。「けしあど」の再現菓子も機会があれば食べてみたい。
「いとおかし*ボーロとビスコチョ」

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