「うばたま」と「ちとせ」

「烏羽玉」とは、つやつやと黒い緋扇の実をさす。
葉も花もあでやかで、夏祭の立花には欠かせぬものであったとか。
花の終わったあとに、さらに美しく輝きのある玉となるのを見て、
「老いて、より美しい」様子に、歳を重ねることの美しさを見たのでは?

同じ菓子をさす言葉として、
「烏羽玉」と「千歳」のイメージが重なってくるように思われる。

餡玉を求肥でつつみ、砂糖やみじん粉をまぶすというこの菓子は
思いのほか、古い菓子である。

加賀地方の「千歳」、虎屋の「千歳鮓」、弘前大阪屋の「うば玉」、
白河「烏羽玉」と、新潟県全域に残る「うば玉」(地域により「千歳」ともいう)は、
同じ古いルーツを持つ菓子であると想像する。
「うば玉」で育った者の確信にも似た思い。
「うば玉」は冠婚葬祭に欠かせないものだった。特別の菓子だ。

そして、平戸松浦家の『百菓之図』による再現の「烏羽玉」も
また同じようである。


「御前菓子図式」にみえる「鮓饅頭」は餡(蜜柑漬けを使用)を求肥で
包んだ後、「煎り粉に漬ける」とある。
上からかけたりするだけではなく、煎り粉(みじん粉)の中にとり、
全体にまぶしつける、ということだと思われる。

これは、煎りみじん粉と砂糖をまぶす、越後の「うば玉」にも近い。

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